MC:来たる平成29年9月17日に開催される東日本ボディビル大会に向けて調子はいかがですか?

G:今減量の真っ最中でやっと60キロ台が見えて来ました。例年のようにサウナスーツを着て無理に体重だけ落とそうとはしていません。ただ、それも直前になるとどうなることか…。減量は頑張っても頑張らなくても失敗するものですから難しいですね。

MC:今年の減量はいつ頃から始めたんですか?

G:春先からゆっくりと始めました。完全オフ時でも75キロ以上は増やさずにリーンに過ごさせて頂きました。

MC:勉強不足ですみません。リーンって何ですか?

G:オフシーズンにも比較的に絞った状態をキープして、オンオフの体重幅を少なくすることを「リーンに過ごす」と言います。

MC:そうなんですね。現在はどのような減量方法を採っていますか?

G:基本的には糖質抜きのケトジェニックダイエットです。まず裁判所毎に食べるコンビニのおにぎりをカットすることからファンファーレを鳴らします。コンビニのおにぎりは本当に美味しいですから食べ始めるとキリがないです。もう何ヶ月もおにぎりを食べていません。

MC:日本人なのにおにぎりを食べないとは!お米も食べないんですか?

G:お米自体もしばらく食べていませんね。最低限の糖質は食物繊維で摂っています。お気に入りはフレグラのチョコバナナ味です。牛乳を掛けて電子レンジで加熱するとトロトロのお粥みたいになって、本当に美味しいです。気付くとお代わりしています。殆どフレグラのチョコバナナ味中毒ですよ。

MC:毎年減量期のエピソードトークを楽しみにしてるんですが、今年のエピソードを教えて頂けますか?

G:そうだったんですか。昨年はどんな話をしましたっけ?

MC:確か欅坂46の「世界には愛しかない」を口遊みながら全速力で爽やかに裁判所に入ろうとしたら入り口のバリアフリーのところで思いっ切り転んで冗談抜きで骨折したかと思ったという話だったかと思うんですが…。

G:あぁ確かにあれは真剣に骨が折れたかと思いました。いつも法廷では睨み合っているたまたま通りがかった相手方の弁護士に「だっ、大丈夫ですか?」って言われたので…。でも、あの話は減量期のエピソードではなくて、単なる普通のエピソードだと思います。もの凄く寒かったですから。

MC:すみません、間違えました。では、最新の減量期のエピソードをお願いします。

G:あの日は朝から雨が降っていたんです。決まって雨の日に履く革靴があるんですがその靴が本当によく滑るんです。真剣に骨が折れたと思ったあの日もその靴を履いていました。それもあって日中、私は全ての階段を細心の注意と共に上り下りしていました。その日の裁判や調停を予定通りに終え、雨も上がって夜になり、埼玉に戻ってスーパーアリーナの地下に降るエスカレーターに乗った瞬間でした。早く着替えようと一歩を踏み出した途端、糖質切れでフラッとしてしまったのか、コミック漫画みたいにエスカレーターを滑り落ちてしまったんです。私は全ての階段を細心の注意を持って上り下りしていました。でもエスカレーターが階段だということを忘れていた。というよりその事に気付かずに、選りに選って鉄で出来た階段を滑り落ちてしまった。そして、滑り落ちている最中に気付いたんです。「しまった、これも階段だった!」って。

MC:なるほど、そう言われればエスカレーターは鉄で出来た動く階段です。怪我はしなかったんですか?

G:私は夏でも長袖のシャツを着ます。そのせいもあってシャツが破れただけで済んだと当初は思いました。その日は腕の日でバイセップスカールをするためにダンベルを握って1セット目を始めたとき、鏡に映った私の前腕に大きな亀裂が出来ているのを見つけました。

MC:やはりケガをしていたんですね。その日のトレーニングは中止ですか?

G:いえ、タオルで止血しながら予定通りのメニューをこなしました。一度断念してしまうと、不思議なもので必ずまた同じ場面に遭遇するものです。だったら今やろう、ここは分水嶺だと思いました。

MC:さすが元レンジャー隊員…というより、なかなか二度訪れる場面ではないかと思いますし、何よりもうその革靴は履かれないことをアドバイスします。ところで、今年特に力を入れている部位はどこでしょうか?

G:腹筋ですね。遅ればせながら40代でいわゆる腹筋デビューを飾りました。

MC:シャツを脱いだとき、人々の目が真っ先に注がれるのが腹筋です。

G:そうです。極端なことを言うと、腹筋さえあれば他の部位が多少見劣りしても目立たない。腹筋が完成されていればその人の人格さえも高く評価される。腹筋とはそういう部位です。それほどまでに人々が憧れ、意識している部位なのであり、言い換えれば誰もが簡単にこの部位を研磨しながらも完成させることができない部位が腹筋なのです。ただ、残念ながらまだ所謂シックスパックには至ってません。でも、41歳の時の腹筋より42歳の腹筋の方が遥かに優れています。

MC:一体、どんなトレーニング方法を見つけたんですか?

G:まず自衛隊式の腹筋運動、具体的には起き上がりのシットアップを止めました。これらの一般的な腹筋運動は中学生の時からやっていますが、自分の腹筋を見れば即時に証明出来るように起き上がりのシットアップでは優雅なシックスパックを作ることは不可能です。そうではないという人もいるでしょうが、筋肉は誰かが私の代わりに鍛えてくれるものではありません。他の誰でもない私がそう思い、決断したんです。

MC:もう自衛隊式の腹筋を止めようと?

G:そうです。その上で腹筋も他の筋肉と何ら代わりはないという前提に立ち10回3セットしか出来ない種目をチョイスしました。強いて一つの種目を挙げるとすればアブローラーですが、具体的なことはまた別の機会に解説したいと思ってます。写真は先週、マッチョの聖地「由比ヶ浜」でもうすぐ10歳になる長男に撮って貰ったものです。

MC:お父さんの腹筋よりも何か違うものを撮りたがっていたような気もしますが、確かに年末の温泉旅行の時よりも腹筋がかなり発達して別人のようです。

G:この腹筋を青年時代に手に入れていればもっと違った人生が待っていたんじゃないかと思います。心の底から嬉しく思う反面、夜中にふと起きたときに猛烈に不安になるんです。腹筋が元に戻ってるんじゃないかって。そして慌ててTシャツを捲り上げて腹筋を確かめ、こう呟くんです。「あぁ良かった。大丈夫だ。」って。

MC:気のせいかも知れませんが、自衛隊中央病院で※※手術を受けたときの話がフラッシュバックしました。最後にこれを読んでいる30代から50代の「男」達に向けて、仕事とトレーニングの両立についてお話し下さい。

G:仕事とは忍耐の連続です。私が仕事にしている弁護士業は憎悪、悔恨、怨嗟等の人間の負の感情と向き合うことにあります。くたくたになって家に帰り、お酒を飲んで寝るだけではその仕事は到底全う出来ません。依頼者に代わって強大なパワーを持つ人間の負の感情と向き合い、その上で依頼者を心から安心させるためには日々の準備が必要です。私にとってトレーニングとはそういった日々の準備、言うなれば儀式のようなものだと考えています。

MC:有難うございました。悲願の東日本ボディビル大会の入賞を期待しています。

G:こちらこそ有難うございました。

 

平成29年8月1日弊所にて